御朱印巡りがブームになる中 神社へ参拝される方が増えていますが、お祀りされている神さまについてご存知の事はありますか?
日本には八百万の神さまがいらっしゃるとされ、当然神社によってお祀りされる神さまが異なります。
一口に神さまと言っても誕生された経緯や性格、特徴は様々ですので、それらを知る事によって神社への参拝もより特別なものになるはず。
みなさんも日本の神さまについて知識を深めてみませんか?
今回は「古事記」で最初に登場された神さま「天之御中主神(あめのみかぬしのかみ)」についてご紹介致します。
天之御中主神の祝詞!「別天津神」
天之御中主神(あめのみなかぬし のかみ)とは一体どの様な神さまなのかご存知ですか?
お名前の「天」は天空や宇宙、「御中」は尊意を込めた“真ん中”という意味、「主」は主人を表し“宇宙の神聖なる中央にいらっしゃる最高神”という神名を持たれた神さまです。
天之御中主神は「古事記」の冒頭、天地創生・天地開闢(てんちかいびゃく)神話の最初に登場し、高御産巣日神(たかむすび のかみ)、神産巣日神(かみむすび のかみ)とともに「造化三神」と呼ばれています。
天之御中主神は最高神、高御産巣日神は天の生産・生成の創造の神、神産巣日神は地の生産・生成の神とされ、国土が形成された際、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしか びひこぢのかみ:活力の神)、天之常立神(あめのとこたち のかみ:天の永久性を象徴する神)の二神の神さまが現れました。
これら五柱の神さまは天津神(高天原の神)の中で特別な存在として「別天津神(ことあまつかみ)」と呼ばれています。
日本には沢山の神さまがいらっしゃいますが、神々の起源となる重要な存在である事が分かりますよね。
最初にご紹介した「造化三神」が登場する祝詞がありますので、ぜひご覧ください。
大元造化三神報恩之祝詞(だいげん ぞうかさんじん ほうおんの のりと)
掛巻くも畏き天地の 元津神天之御中主大御神
たかむすびの おおみかみ かみむすびの おおみかみたちの
高皇産霊之大御神 神産霊之大御神達の
くすしく たへなる みたまの ふゆによりて
奇しく妙なる御恩頼に依りて
このうつしよに あれいでたる みにしあれば
此の現世に生れ出でたる身にし有れば そのもとつみめぐみにむくい たてまつらむとして たたへごとを へまつらくは
其の本津御恩に報い 奉らむと為て称辞竟へ奉らくは
いやたかく そこひなき たかまがはらの
弥高く底氷無き高天原の かくりよを しめたまひ はじめもなく をはりもなく
幽界を主宰給ひ始めも無く終も無く
ときはにかきはに しづまりましまして めにみえぬ もとつけは ももたらず
常磐に堅磐に鎮まり座し坐して 眼に見えぬ元津気は百足らず
やそのかみけを なしたまひ めにみゆるものは
八十の神気を生し給ひ眼に見ゆる物形は
ひのみくに ほしのみくに またこのおほつちに ありては うつしき
日の御國昔の御國亦是の地球に在りては現しき
あをひとぐさを はじめ いきあるも いきなしも よにありとし
蒼生を始め息有るも息無しも世に在りとし
あるもののかぎりを うむしいで うしはきまもり さきはへたまへる
在る物の限りを産化し出で占有き護り幸へ給へる
みいさをの おほきひさしき ひろきあつき おほいつくしみを かがふりて
御化功の大き久しき廣き厚き 大愛を蒙りて
このうつしよに あらむかぎりは おおみかみたちの もとつみこころの まにまに
此の現世に在らむ限りは大御神達の本津御心の随に
このこころを つくしてうむことなく このみを つとめて おこたることなく
此の心を尽くして倦む事無く 此の身を勉めて怠る事無く
いやまひかしこみも つかえへまつるさまを たひらけく やすらけく きこしめして
敬ひ畏みも仕え奉る状を平けく安らけく聞こし食して
よものくにの あおひとぐさをして あめつちのかむわざに たがはしめず ひらけよにおくれしめず
四方の國の青人草を為して 天地の神理に違はしめず開世に後れしめず
くさぐさのわざはひなく つつがなく あらしめたまひよのまもり ひのまもりにまもり
種種の禍無く恙無く在らしめ給ひ世の守り 日の守りに護り
めぐみさきは はへたまへと みそらはるかに をろがみまつらくと まをす
恵み幸はへ賜へと真空遥かに拝み奉らくと白す
祝詞の意味は以下の通りです。
言葉に掛けて申し上げるのも恐れ多い天地の根源の神様であらせられる
あめのみなかぬしの大神様、たかむすびの大神様、かみむすびの大神様達の不思議で絶妙な恩恵によってこの世に生まれ出てきた我々の身の上ならば
その恩恵にお報い奉ろうとして、お称え申し上げますにはいよいよ高く、底知れぬ天上界の幽界を主宰され
始めも終わりもなく、盤石に永遠にお鎮まりになられて目に見えない根源エネルギーは、百種類に近い神のエネルギーを生じ給い
目に見えるものは昼の世界、夜の世界を主宰されまたこの地球にあっては現代を生きる人を始め
呼吸をする生き物も呼吸しないものも、
この世にありとあらゆるものの限りを生み出し給い支配され、お守り下さり幸をお与え下さる功績の
偉大で悠久で、広くて厚い大きな愛情を蒙ってこの現世に生きている限りは、大神様たちの元となる御心そのままに
この真心を尽くさせて頂き、傲慢にならず尊敬し畏怖の気持ちでお仕えする様子を
お心も穏やかにお聞き下さいまして、全世界の人々を天地の神理に違わせず開けた世の中に後れること無、様々な災難が無く、つつがなく存在させて下さり
夜も昼も昼夜分かたず、お守りお恵み下さり幸をお授け下さいと大空を遥かに拝ませて頂きますと申し上げます。
祝詞に使用される漢字は難しく、耳にしたり目にしただけでは内容が分かりませんが、現代語に表すと意味が分かりやすくなりますよね。
また少し身近なものに感じられるのではないでしょうか。
[the_ad id="4672"]
造化三神を祀る神社!
造化三神が登場する祝詞をご覧いただいたところで、実際お祀りされている神社へ足を運んでみたいという方いらっしゃいませんか?
そこで造化三神それぞれの神様がお祀りされている神社をご紹介致します。
天之御中主神
- 日高神社:ひたかじんじゃ(岩手県奥州市水沢字日高小路13)
- 相馬中村神社(福島県相馬市中村字北町140)
- 秩父神社(埼玉県秩父市番場町1-1)
- 日野宮神社(東京都日野市栄町2-27-19)
- 千葉神社(千葉県千葉市中央区院内1-16-1)
- *四柱神社:よはしらじんじゃ(長野県松本市大手3-3-20)
- 鎮宅霊符神社:ちんたくれいふじんじゃ(奈良県奈良市陰陽町5)
- 建水分神社:たけみくまりじんじゃ(大阪府南河内郡千早赤坂村大字水分357番地)
- *サムハラ神社(大阪府大阪市西区立売堀2-5-26)
- 木嶋坐天照御魂神社:このしまにますあまてるみたまじんじゃ(京都府京都市左京区太秦森ヶ東町50番地)
- *葛城神社妙見宮(福岡県築上郡築上町奈古111番)
- 八代神社:やつしろじんじゃ(熊本県八代市妙見町405)
- *印がついている神社は「造化三神」がお祀りされている神社です。
天之御中主神は神仏習合によって妙見菩薩と同一とみなされてきました。
仏教の妙見菩薩と神道の神さまが同じなの?と思われるかもしれませんが、天之御中主神は“天の中央の神”、北極星の神格化である妙見菩薩が習合されたと考えられています。
そして現在天之御中主神をお祀りする神社の多くは、妙見社が神仏分離・廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によって天之御中主神を御祭神とする神社になったもの。
日本が歩んできた長い歴史や宗教の複雑さを感じられる気がします。
参拝される神社の歴史を紐解いてみると、意外な事実を発見出来るかもしれませんね。
高御産巣日神
- 天神神社(岐阜県瑞穂市居倉)
- 天神社(奈良県大和高田市三和町2-15)
神産巣日神
- 八所神社(山形県東置賜郡川西町吉田達前3023-1)
- 安達太良神社(福島県本宮市本宮字舘越232)
主な神社をご紹介させて頂きました。
みなさんがお住いの地域に神社はありましたか? もしご自宅近くに神社がある方はぜひ参拝に訪れて頂きたいと思います。
[the_ad id="4672"]
造化三神を祀る東京の神社はどこ?「東京大神宮」
全国にある「造化三神」をお祀りする神社をご紹介させて頂きましたが、東京都内にも神社がある事をご存知ですか?
それは“東京のお伊勢さま”と親しまれる「東京大神宮」です。東京都千代田区富士見に鎮座するこちらの神社は縁結びで有名なパワースポット。
現在も「伊勢神宮」を訪れる方は多く日本人にとって憧れを抱く様な神社ですが、それは江戸時代の頃も同じで「伊勢神宮」への参拝は人々の生涯かけての願いでした。
明治時代になり新国家が誕生すると、明治天皇のご裁断によって伊勢神宮の遥拝殿として創建され、当初は日比谷に鎮座していたことから「日比谷大神宮」と称されていました。
関東大震災後の昭和3年現在の場所に移り「飯田橋神宮」の名称で親しまれ、戦後社名を「東京大神宮」に改め現在に至っています。
御祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)、豊受大神(とようけのおおかみ)、倭比賣命(やまとひめのみこと)、そして天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神の造化三神。
縁結びのご利益を授かれる事で知られていますが、家内安全、商売繁盛、開運厄除、学業成就、交通安全などのご利益も授かれ、都心にありながら境内には落ち着いた神聖な空気が流れ心身ともにリラックス出来る事間違いなし。
ぜひ一度参拝に訪れてみてはいかがでしょうか。
お守りやお札の授与時間は8時から19時までとなっております。
素敵なお守りやおみくじが沢山用意されていますので、ぜひお気に入りのものを見つけて下さいね。
[the_ad id="4672"]
造化三神のご利益!
造化三神の祝詞やお祀りされている神社をお伝えしましたが、一体どの様なご利益を授けて下さる神さまなのでしょうか。
天之御中主神!天地開闢(てんちかいびゃく)
まず天之御中主神は天地開闢(てんちかいびゃく)の際、最初に現れ、宇宙の中心を司る神さまで、室町時代以降の神仏習合では北極星や北斗七星を崇める妙見信仰と一緒になり、妙見菩薩と呼ばれる様になりました。
天之御中主神に関する記述はそれ程多くありませんが、神道の流派を問わず“神々の体系の中心的な役割を担う”と共通して考えられています。
そんな天之御中主神が授けて下さるご利益は安産・長寿・出世開運・学業上達・技術向上・厄除け・病気平癒と多岐に渡り、そのパワーの強さを感じて頂けるのではないでしょうか。そして安産や子育ての神さまとしても知られ、有名な水天宮にもお祀りされています。
人間がこの世に生まれてから生涯を閉じるまでの間 ずっと見守って下さる神さまと言えるかもしれませんね。
高御産巣日神!天之御中主神の次に現れた神さま
「日本書紀」では「高皇産霊尊」と記されていますが、「産霊(むすび)」は生成や生産といった意味を表しています。
古くから皇室の祭祀において重要視され、豊穣を感謝する秋の大嘗祭(だいじょうさい)や春の祈年祭(としごいのまつり)にお祀りされる事から農耕や生産に深い関わりがある事が分かります。
更に「古事記」や「日本書紀」の中で“高木神(たかぎのかみ)”とも呼ばれ、天孫降臨や国譲り、神武東征などの場面に登場。
そこでは祭事から政治、軍事に至るまで最高司令神としてのお姿が描かれています。
とっても頼もしい存在の高御産巣日神が授けて下さるご利益は 所願成就・開運招福・厄除け・縁結びなど。
高御産巣日神を祀る神社は全国的にも少なく、多くの場合が神産巣日神と一緒にお祀りされています。
お名前が出た所で造化三神のラストは神産巣日神!
神産巣日神は万物生成の働きを象徴する神さま。
造化三神の神さまは男女の性別が記載されておらず「独り神」とされていて、神産巣日神も当然「独り神」ですが女神ではないかと考えられているそうです。
それを表すかの様なこんな神話があります。
高天原を追放されてしまった須佐之男命(すさのおのみこと)が空腹に耐えかねて、大気都比売神(おおげつひめのかみ)に食料を求めました。
要望に応え様々な食料を須佐之男命に振る舞ったのですが、不審に思った須佐之男命が食事の仕度をする大気都比売神の姿を覗くと、なんと鼻や口から食材を取り出して調理していたのです。
「そんな汚いものを食べさせたのか」と須佐之男命は大激怒し、怒りのあまり大気都比売神を斬り殺してしまいました。
すると大気都比売神の頭から“蚕”、目から“稲”、耳から“粟”、鼻から“小豆”、陰部から“麦”、尻から“大豆”が誕生。
これを回収したのが神産巣日神で、回収したものを種としたそうです。
まさに大地母神的な性格をお持ちの神さまである事が分かりますよね。
そんな神産巣日神が授けて下さるご利益は豊作・厄除け・縁結び・開運招福などで、高御産巣日神と同様お祀りされている神社は少なく、多くの場合一緒にお祀りされています。
「造化三神」と呼ばれる神さまも、それぞれ特徴や性格が全く異なる為 少しでも知る事が出来ればみなさんの心に残る神さまとなるのではないでしょうか。
日本の神さまは本当に奥が深いですが、そのぶん勉強するのも楽しいものですよね。
天之御中主神のその他の情報の詳細はこちらの記事もご覧くださいね↓
アメノミナカヌシ (ノカミ) 様の奇跡と潜在覚醒とは?神社や復縁、リサ・ランドール博士
日本には八百万の神さまがいらっしゃると云われていますが、その中で最初に姿を現された「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」という神さまをご存知でしょうか。 宇宙の中心にいらっしゃる天之御中主神は人々 ...
天之御中主神 (アメノミナカヌシ様) のお札や使命?あめのみなかぬしのおおかみさまを祀る神社と龍神!
パワースポット巡りや御朱印巡りが大きなブームになる中、神社へ足を運ばれる方が多いと思いますが、日本には一体どの様な神さまがいらっしゃるのかご存知ですか? せっかく神社を参拝するなら少しでも日本の神さま ...
アメノミナカヌシ様 (あめのみなかぬしさま) のお金祈願の神社は?天之御中主神神社 (東京・千葉・関西・大阪・京都) 一覧
宇宙の中心にいらっしゃる最高神の天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ) あまり馴染みが無い方には少し難しいお名前に感じられるかもしれませんが、強力なお力で人々にお力添え下さる神さまとして有名です。 そ ...
アメノミナカヌシ様 (あめのみなかぬしさま) 効果と評価は?天之御中主神の御真言やヤハウェ?斎藤一人さんの言霊!
みなさんは「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」というお名前の神さまをご存知でしょうか? 少し難しいお名前ですが「天之御中主神」は宇宙の中心にいらっしゃる最高神と云われています。 それを聞いただけ ...
天之御中主神の祝詞!造化三神を祀る神社とは?東京では?ご利益や祝詞のまとめ
天地開闢で最初に登場された神さま「天之御中主神」についてご紹介致しました。
神さまのお名前や祝詞など馴染みが無い方は難しく感じられると思います。
でも一度に知識を取り入れるのでは無く、徐々に学べば後にみなさんの大きな財産になるはずです。
あまり難しく考えず、まずは参拝する神社にお祀りされる神さまについて調べてみてはいかがでしょうか。